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2012年9月19日

2012年9月19日 (水)

「賃貸住宅におけるポートフォリオ戦略」

【なぜ今ポートフォリオか?】
最近、ポートフォリオ戦略に関する依頼が多い。
それもREITを含むAM、ハウスメーカーなど顧客層も一様ではない。
資産を積み上げてきた中で、新規取得・開発がやや滞り、
今後のポートフォリオの見直しをせざるを得ない状況にある。
それはあまり根拠なく割り当てていた割合が限界に近づいていることでもある。
(元来、根拠がないから、当たり前である)
また、築浅な時代を過ぎて、賃貸収益に問題が出始めているケースもある。
いずれにしても、計画の旗色は悪く、方向転換が必要であることは確かである。

【最初にゴールを明確にする】
この手の仕事でまずやることは、ポートフォリオの定義になる。
「分散」や「割合(ポーション)」を口にする人は多いが、これは二義的に過ぎない。
一番の目的は「安定」を目指すところにあり、分散や割合は安定の蓋然性を見つける手法だと考えた方がいい。
ちなみに、賃貸住宅市場では物件毎に分散させるのは非常に難しい。
首都圏では、都心部を中心とした放射線状に市場が拡がり、シームレスに連動しているのが実態となる。
つまり、エリアを分けても別の傾向を示す可能性は低い。
それを「10物件のうち、1物件が空室率が悪くなっても、全体では安定している」と評す人がいるが、
これはポートフォリオの効果ではなく、「大数の法則」のようなもので、数を多くすれば自然と均されるだけだ。
要は、どうやって「安定」を実現するか、がポイントになる。

【賃貸住宅の事業収支への影響要因】
事業収支のパラメータは非常に限られている。
賃料、稼働率、修繕費用、ローン条件などである。
この中で、弊社では以下の4つの要因にフォーカスして分析をする。
①現在の賃料、②築古の賃料、③賃料のぶれ幅、④物件のポジショニング分析
稼働率は悪ければ賃料に跳ね返る。つまり、需給が緩いと、①築浅の賃料は高くても②築古の賃料が大幅に下がる。
市場規模が小さいと、需給は変動幅が大きくなり、③の賃料のぶれ幅が大きくなる。
安定するには、ストック(供給)も借家世帯数(需要)も多い方が望ましい。
最後に、④物件のポジショニングは良ければ、需給の影響を受けにくく、賃料は安定する。
ポジショニングは立地と築年で見る。それが賃料に影響を与える重要性が高いからだ。
これら4つが分かれば、既存物件の評価と今後のポートフォリオ戦略のゴールが見えてくる。

【アプローチはニーズに合わせる】
ポートフォリオ戦略の再構築と言っても、置かれた状況や予算やニーズが異なる。
全社での戦略との整合性を取って大掛かりにやる場合もあれば、物件単位の調査の延長線上の場合もある。
多様なニーズに対応するために、解決策は一様ではない。
コストパフォーマンスを最大化するための提案をしているので、
まずは早い段階で相談して頂くのが双方にとって一番望ましいことだけは明らかである。

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